煎茶道大阪上本町教室ブログ

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煎茶家翼仙がおススメする売茶翁ゆかりの京都東福寺の旅

煎茶道(せんちゃどう)の祖・売茶翁(ばいさおう)ゆかりの京都市にある東福寺(とうふくじ)へ旅をしました。

 

ーーーーーーーーーーーー記事の目次ーーーーーーーーーーーー

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こんにちは。

煎茶道翼仙教室の翼仙(よくせん)です。

今回は、煎茶道の祖ともいわれる売茶翁(ばいさおう、まいさおう)ゆかりの地である、京都東山にある東福寺を訪れた際の記事です

 

煎茶道と売茶翁とは

まずはこの2つのつながりを説明します。

煎茶道(せんちゃどう)とは…茶道の一種ですが、その大きな違いとしては、急須や茶葉を使用して、お茶を淹れるという点です。また茶道とは考え方も多少違っており、煎茶道は「お茶を楽しむ」ことを大きな目的としています。

 

売茶翁(ばいさおう、まいさおう)とは…佐賀県出身の江戸時代に活躍した禅宗の高僧(こうそう)。佐賀、京都、仙台など日本各地で修行した。晩年は京都東山にて、通仙亭(つうせんてい)という家屋を拠点に、お茶を煎じては市民に対して禅問答(ぜんもんどう)をしつつ交流をした。その考え方は、今日の煎茶道の目指すべき方向性であり、ゆえに煎茶道の祖と言われています。

 

煎茶道の文化がとけこむ京都

京都で暮らし、働いていると、煎茶道の文化とよく出会います。

 

寒天(かんてん)…由来は「寒晒しところてん」。天草(てんぐさ)という海藻の煮汁からつくるもので、ところてんを凍結(とうけつ)、融解(ゆうかい)、乾燥(かんそう)を繰り返し干物状(ひものじょう)にしたもの。煎茶道の祖といわれる隠元禅師(いんげんぜんし)が名付けたという。

 

いんげん豆(白小豆しろあずき)…1654年、中国からの帰化僧(きかそう)であり黄檗宗(おうばくしゅう)の祖である隠元禅師が持ち込んだ。文字通り白い色をした大豆で、夏に、白またはピンク色の花をつけ、秋に長いさやをつける。現在の和菓子には、きれいな色付けがされている和菓子がたくさんある。あれは自然の着色料を、インゲン豆に付着させてから作る。

 

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)…京都相国寺林光院(しょうこくじりんこういん)で、煎茶道の祖ともいわれる売茶翁と出会い、煎茶を売っては禅を説くその生き方にあこがれ、自身も米斗翁(べいとおう)と名乗り、絵を描く。

 

富岡鉄斎(とみおかてっさい)…日本最後の文人(ぶんじん)といわれる日本画家。自身も煎茶道を好み、伊藤若冲が描いた売茶翁図を何度も模写している。

 

今回は、たくさんの文化を残してくれた、売茶翁の足跡を訪ねて、京都東山にある東福寺に行ってきました。

 

煎茶道ゆかりの東福寺ってどんなところ

東福寺(とうふくじ)とは、京都市東山区本町十五丁目にある臨済宗(りんざいしゅう)東福寺派大本山の寺院。山号(さんごう)は慧日山(えにちさん)。京都五山(きょうとござん)の第四位の禅寺として中世、近世を通じて栄えた。

 

京都の観光スポットとして、常に人気ランキング上位にくいこむ人気のお寺です。

その理由は、2つです。

紅葉と日本庭園です。

そんな東福寺に行ってきました。

 

煎茶道ゆかりの売茶翁が好んだ紅葉の名所「通天橋(つうてんきょう)」

東福寺は渓谷の上に建立されてまして、かつてはその渓谷を歩いて、お坊さんたちは境内を移動していたそうです。

とくに開山堂と本堂を行き来する修行僧が多く、そのためにかけられた橋が通天橋です。

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東福寺にある通天橋の写真


秋は紅葉の名所となります。

かつて日本には紅葉する植物があまり自生していなかったようで、東福寺を開山した聖一国師が、唐楓(とうかえで)や伊呂波紅葉(いろはもみじ)を中国から持ってきて植えたという伝説があります。

特に唐楓はオレンジ色が特徴で、朱、オレンジ、など紅葉のグラデーションとなり、東福寺の紅葉の美しさを一層際立たせています。
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売茶翁は特にこの通天橋がお気に入りで、多くの詩をのこしています。

「三條橋畔の 売茶老 又 通天に向いて澗泉を煮る」(通天橋鬻茶)

「茶具携え来る 黄落の中 竈に松卵を焼いて 松風を煮る」(通天橋開茶舗

「我に通天の 那一路あり 何ぞ須いん 六碗 神仙に達するを」(通天橋開茶亭)

「茶烟 錦を篭めて 通天を擁す」(通天橋畔煮茶)

売茶翁偈語(ばいさおうげご)には、通天橋にかかる詩が多く記載されています。自身の茶屋を名付けるぐらいに、仙人の生活にあこがれた売茶翁ですから、この仙境のようにかかる天上世界の橋に見立てたこの景色が、お気に入りだったのでしょうか。

 

 

京都にきたら見なきゃ損!重森三玲のデビュー作「東福寺本坊の庭園」。

紅葉の通天橋といっしょにみなさんが見たがっているのが、モダニズム日本庭園の作庭家(さくていか)である重森三玲(しげもりみれい)のお庭です。

苔を配した市松模様の庭。そのお庭があるのが、「本坊」です。本坊の中心となる方丈をぐるりと囲むように4つのお庭があり、なんとこちらは、昭和13年(1938)、三玲43歳のときに作庭家デビューを飾った記念すべき場所なのです。

 

本坊南庭…本堂の方丈(ほうじょう)前にある重要なお庭です。左側には仙人がすむ仙境になぞらえた石庭を配置し、右側には京都五山にみたてた苔の山を置いています。
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京都五山に見立てた苔山のアップ写真です。

1本だけ松があります。

松は神聖な植物で、神様がおりてくる依り代になったりと、そこに植えられているだけで何かのメッセージがあると予想できます。

みなさんはどんな意味が込められていると思いますか?

重森さんからの問いかけかもしれません。
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左側にあった仙境にみたてた石庭。

有機物の苔山に対して、無機物の石庭で、陰陽を表しているのでしょうか。

ごつごつした荒々しい岩が特徴的です。
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本坊方丈はこんな感じです。

さまざまな角度からお庭が見れるのが良いですね。
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この南庭がメインとなるので、最後に一枚。

俯瞰で石庭側から撮るとこんな感じです。

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本坊東庭…北斗七星の庭です。円錐型の石柱で北斗七星を表しています。ここもまた苔と松が奥に植えられています。
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本坊北庭…苔と石で市松模様をデザインしています。こちらも有機物と無機物で自然界にない幾何学的なデザインです。重森三玲氏がモダニズムな作庭家と言われる由縁はこのあたりでしょうか。

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お寺の庭というと、抽象的というか、はっきりとメッセージ性を持たせず、見る人に考えさせるあいまいなものが多いですが、重森氏の庭は逆で、一度見たら忘れられません。

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本坊西庭…サツキツツジが正方形に刈り込みされ、市松模様に配置されています。有機物の自然界ではありえない模様であえて配置することにより、こちらでも陰陽を表しているのでしょうか。
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サツキツツジ市松模様をアップで。

奥には通天橋が見え、塀を一段下げて見えるようにしているのは、何かのメッセージでしょうか。

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煎茶道家翼仙おすすめのスポット国宝・龍吟庵(りゅうぎんあん)の臥龍

ちなみに私のおすすめスポットは、東福寺境内にある国宝龍吟庵の臥龍松です。

本当に天にのびている、飛翔している松なんです。

一見の価値ありです。

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今回訪問した場所の基本情報

名称:臨済宗大本山東福寺

ふりがな:りんざいしゅうだいほんざんとうふくじ

住所:京都府京都市東山区本町15丁目778

最寄り駅(アクセス):JR・京阪電車東福寺」下車、徒歩約10分 

問い合わせ:075-561-0087

開館時間:9:00~16:00

ホームページURL:http://www.tofukuji.jp/

 

 

以上になります。

ご覧いただきありがとうございます。

 

・煎茶道家「よくせん」とは~「はじめての煎茶道教室in大阪」開講しました!

http://yokusen.hatenablog.com/entry/2019/12/07/142829

 

・煎茶道 黄檗賣茶流教授 東叡山翼仙(とうえいざんよくせん)とは!

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