煎茶道大阪上本町教室ブログ

煎茶道大阪上本町教室のブログです。大阪や京都で煎茶道教室やお稽古、初心者向けに習い事や趣味としてはじめての日本茶ワークショップを企画してます。国内旅行や地方文化についても書きます。

煎茶道と丹波焼

煎茶道翼仙教室でつかうお道具をもとめて、兵庫県篠山市にある丹波焼の郷へ訪れた際の記事です。

 

ーーー目次ーーー

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煎茶道と民芸「丹波焼

煎茶道(せんちゃどう)とは、茶道の一種であり、大きな違いは急須をつかって茶葉からお茶を淹れる、という点です。

江戸時代に、茶を煎じて淹れる淹茶方法が中国からもたらされ、中国文化と共に、お茶を楽しむ文化が生まれました。

 

急須に茶葉を淹れてお茶を淹れる茶道なので、日常生活でつかう急須や茶碗、茶托(ちゃたく)といった生活雑器(せいかつざっき)などを、煎茶道の茶会では使用します。今回は生活雑器としての歴史をもつ丹波焼(たんばやき)を茶会に取り入れたく、丹波焼の勉強をしにきました。

 

丹波焼とは、兵庫県篠山市今田地区付近で焼かれる陶器のことをそう呼びます。日本の焼き物の中でも古く、日本遺産にも登録された日本六古窯(にほんろっこよう)である愛知県瀬戸焼(せとやき)、愛知県常滑焼(とこなめやき)、福井県越前焼(えちぜんやき)、滋賀県信楽焼(しがらきやき)、岡山県備前焼(びぜんやき)のグループの中の1つです。

 

地名をとって立杭焼(たちくいやき:丹波立杭焼とも言われる)ともいわれ、昭和53年(1978年)には「丹波立杭焼(たんばたちくいやき)」の商標で、伝統的工芸品指定を国から受けたそうです。

 

歴史がおもしろく、丹波エリアの集落で使われる生活雑器を古くからつくってきた窯元が多いようです。なので工芸のような美しさを強調するわけではない、本当に実用性(壊れにくい、大量生産できる)を追求してきた焼き物です。どんなものか気になりますよね。

 

丹波焼の特徴とは

①登り窯や穴窯で焼くからこその”灰かぶり”

丹波焼の郷に行くと分かりますが 、あちこちに登り窯(のぼりがま)や穴窯(あながま)があります。

その中には、かつて使っていたであろうものや、現役で使っている窯あります。

丹波焼焼成時(しょうせいじ)に、薪(まき)をくべて窯の内部温度を1300度近くまで上げます。

 

すると薪が燃え尽きて灰になり、その灰が融けて焼き物に付着し、釉薬となったり、また焼き物に直接火が触れることを防ぐことにより、”焼きムラ”が生まれます。

それが窯から出すと、一つ一つ色が変わっていたり、焼きムラがデザインのようになったりします。いわゆる「自然の美」というものでしょうか。

 

②1300年以上続く窯元だからこその変化

丹波焼はその歴史の長さから、様々な技法を取り入れてきました。素焼きで行われていた平安時代から、焼き締め、釉薬、赤土部(あかどべ)、白土を混ぜた白丹波しろたんば)へとバリエーションが増え、使いやすいさを追求しつつ、デザインとしても進化していて、「実用の美」とも言われます。

 

丹波焼の美しさとは

私は、丹波焼の美しさとは、「実用の美(じつようのび)」にあると思います。丹波焼は先ほど述べた歴史のとおり、芸術的なものとは対極にあるものです。実用の美とは、そもそもが感覚的な話なので、言葉が合っているか分かりませんが、生活的という表現が1番合っていると思います。

 

丹波焼は、生活雑器(せいかつざっき)として親しまれ、その1000年以上の歴史で育まれてきた素朴な焼きムラや模様は、「実用の美」として、民芸運動家(みんげいうんどうか)たちに見出されました。

 

うまく表現できませんが、大自然が器に宿っているイメージです。芸術的な絵付けやデザインがされている陶器が対極にありますが、それは大自然の一部である人間が、大自然からインスピレーションを得て描いたものです。もちろんそれはそれで美しいものです。

 

実用の美を発見したのは、河井寛次郎柳宗悦(やなぎむねよし)、イギリス人陶芸家バーナードリーチといった、当時すでに芸術的な作品を作ることができた文化人たちだったそうです。

 

かつては絵付けや、釉薬の調整や、あらゆる技法を研究していた方々が、実用の美を見つけたというのが面白いところです。

 

また丹波焼のもう一つの魅力として挙げられるのが「スリップウェア」です。

 

スリップウェアとは古代エジプトメソポタミア、ヨーロッパ、中国など世界各地で見られた、陶器の一種です。陶器の表面をスリップ呼ばれる泥漿状(でいしょう・水と粘土を混ぜた状態)の化粧土(けしょうつち)で装飾する方法が特徴。

 

自然の美しさがそのまま器に反映されたような大胆で優しいデザインと、スリップウェア、そして丹波焼の生まれた文化を見に、焼き物の郷へ行ってきました。

 

いざ丹波焼の郷へ

丹波焼へは車で行くのがベストです。

丹羽焼き物市があるときは、バスが頻繁に出ていますが、平日はなかなか本数がなく、町内のほとけばし袂には無料駐車場がありますので、そこを利用すると良いかと思います。

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兵庫県篠山市丹波焼の郷「ほとけばし」

 

目印はこの赤茶色の水瓶です。

スリップ(化粧土)でデザインが描かれています。この駐車場を拠点に、徒歩圏内に窯元ギャラリーがあります。

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兵庫県篠山市丹波焼の郷「ほとけばし」

 

 

民芸運動家:河井寛次郎やバーナードリーチがはいった窯

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丹波焼「丹窓窯(たんそうがま)」

ーーーーーー基本情報ーーーーーーー

名称:丹窓窯

ふりがな:たんそうがま

所在地:〒669-2135 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭327

TEL:079-597-2057
駐車場:無料の公共駐車場あり
開館時間:9:00〜17:00
入場料:無料

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丹波焼といえば、農村の生活雑器をつくる民芸品として有名ですが、丹波焼を民芸品としてはじめて評価したのが河井寛次郎やバーナードリーチといった民芸運動家です。

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丹波焼「丹窓窯(たんそうがま)」

彼らは各地の窯元を訪れては地方文化の美意識を発見していったのですが、丹波焼ではここの窯に見学に訪れたらしいですね。


丹窓窯は、ギャラリー横に工房や登り窯などがあります。一見すると工場のようですが、ちゃんとギャラリースペースも設けられていて、

 

店先にはスリップウェアの皿やボウル、フリーカップなどがあります。

波模様や網模様、幾何学模様など、丹羽スリップにはデザインが多様にあるようです。

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丹波焼「丹窓窯(たんそうがま)」のスリップウェア



また大皿には、表面をキャンバスに見立て、鳥や草花の絵がスリップで施されています。

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丹波焼「丹窓窯(たんそうがま)」のスリップウェア②

絵柄が丸くてゆるくて、色合いも優しいものが多くて、とても可愛いです。

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丹波焼「丹窓窯(たんそうがま)」のスリップウェア③


また丹波焼の郷は、沢山の窯元と併設されたギャラリーがあり、丹波焼ショッピングが楽しめます。外観も古民家のものが多く、歩くだけでも楽しいです。

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丹波焼の郷にある窯元ギャラリー

 

丹波焼の郷おすすめスポット

丹波焼の郷で見られる、共同で使用していたと思われる「登り窯」。何段あるのか分からないぐらいの長さです。

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兵庫県丹波焼(たんばやき)の郷にある最古の登り窯

登り窯とは、

簡単に言うと、陶器を大量生産する窯です。

窯の下のほうで薪を焚き、炎や熱が上にいく性質を利用し、階段状に窯をつくり、各階で焼きます。

 

 

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愛知県常滑焼の窯

登り窯のメリットは大量生産が出来ることです。

炎の特徴は、酸素を追い求めてどんどん上に進んでいくことです。

なので下で火を焚けば、登り窯全体が温まり、多くの焼き物を作る事が出来るのです。

 

効率よく丹波焼窯元の作品が見たい人は「陶の郷」へ

ーーーー基本情報ーーーー

名称:丹波伝統工芸公園 立杭陶の郷

ふりがな:たんばでんとうこうげいこうえん たちくいすえのさと

住所:〒669-2135 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭3
連絡先:TEL 079-597-2034 FAX 079-597-3232 メール info@tanbayaki.com
開園時間:AM10:00〜PM5:00
休園日:年末年始(12月29日〜1月1日)/毎週火曜日(祝日は営業)
ワークショップ:TEL 079-506-6027(陶芸教室直通)

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兵庫県丹波焼「陶の郷」



丹羽地方おすすめグルメ

丹羽といえば米所。

地酒を買いに、有名な秀月さんに寄りました。

丹波のお米と、水と、丹波杜氏の技術がおりなす、地産地消の美味しいお酒が購入できます。

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兵庫県の日本酒蔵元「秀月」


ーーーー基本情報ーーーー

名称:清酒 秀月

ふりがな:せいしゅ しゅうげつ

住所:〒669-2103 兵庫県丹波篠山市波賀野500
TEL:079-595-0040  FAX:(079)595-0421

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煎茶道家翼仙オススメの丹羽スポット「汐乃湯温泉」

知る人ぞ知る、源泉100%の名湯「汐乃湯温泉(しおのゆおんせん)」。

丹波焼の郷に行ったら、絶対に寄りたい場所がここ「汐乃湯温泉」です。

 

ここの温泉は、静かに休日を過ごされたい方にとてもおすすめです。

大阪の人混みで疲れたら、大阪能勢(のせ)まで来て休みましょう。

静かな山間に、ひっそりと汐乃湯温泉はあります。

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大阪汐乃湯温泉(しおのゆおんせん)のエントランス看板


ーーーーーー基本情報ーーーーーーーーーー

名称:汐乃湯温泉

ふりがな:しおのゆおんせん

所在地:大阪府豊能郡能勢町森上317

TEL:0727-34-0021
駐車場:無料の駐車場あり
開館時間:11:00〜18:00
入泉料:1000円

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古い旅館のような見た目で、中に入る、綺麗に掃除された館内は、中庭を中心に円形に建てられています。

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大阪汐乃湯温泉(しおのゆおんせん)の館内

温泉は、もちろん源泉掛け流し100パーセント。赤褐色の泥湯のような、泉中の鉄分が参加してとても赤くなっています。

これがまためちゃくちゃ気持ちいい。

この鄙びた雰囲気の温泉旅館と丹波焼の郷、これはもう当たり旅やなと、この時点で確信します。

 

特に秋に来るのがおすすめで、何故かというと、こちらの画像をご覧ください。

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大阪汐乃湯温泉(しおのゆおんせん)館内にある猪のはく製

そう、絶品の牡丹鍋(ぼたんなべ)が食べれるんのです。

要は猪肉、ジビエです。

 

豚はもともとは猪であり、猪は山でビタミンたっぷりの木の実を主食としており、良質で旨味のある猪肉がいただけます。

 

秋冬シーズン限定なので、是非この時期に!

関西秋冬の楽しみの1つです。

 

 

・煎茶道家「よくせん」とは~「はじめての煎茶道教室in大阪」開講しました!

http://yokusen.hatenablog.com/entry/2019/12/07/142829

 

・煎茶道 黄檗賣茶流教授 東叡山翼仙(とうえいざんよくせん)とは!

http://blog.hatena.ne.jp/yokusen/yokusen.hatenablog.com/edit?entry=26006613537354011

 

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